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2006/02/24

ガンの重粒子線治療法

先日元産経新聞の偉いさんだった 出口さん から下記のようなメールが来ました。それによると今まで手術が出来なかったような難しいガンも簡単に治す方法が出来たとのこと

それが 重粒子線治療法 という聞きなれないものです。X線やガンマー線の変わりに重粒子線というものを患部に照射しますとあーら不思議 ガン細胞が跡形もなく消えてしまうというだそうです。

インターネットで調べたらこんなホームページがありました。

http://www.atom.meti.go.jp/medis/01/02.html

http://www.kenkobunka.jp/kenbun/kb37/ishiga37.html

ただこの方法でガンが治ったとしてもそれで全てOKとはならないのでは私は思います。 なぜならガンの出来た原因を取り除いていないからです。 それは各人が自分で生活態度なんかをかえていかないといけないでしょうね  

出口さんのメールはちょっと長いので続くのほうに

DND事務局の出口です。悪性のがんだって、ふらっと病院へ行って治療し、夕方には何もなかったかのように元気になって遊びに行ける、そんながん治療が現実的になっている、と説明したら、「風邪を治すようなものですね」って返すから、いやいや風邪引きより早い、って言うと、腰を抜かすような驚き様で目を白黒させていました。

 これって、いったい何、何が起きているのでしょうか?もう60分近い持ち時間をしっかりした口調で、その先端的ながん治療の核心をわかりやすく説明し、時計を気にしながらもその後半に大きな山場を迎えていました。それは、本邦初公開となる、実際の患者の治療実績でした。次から次と続く、そのいくつもの驚きの症例に会場はシーンと静まり返り、参加者はその片言隻句に固唾を呑むように聞き入っていました。

 講演に立っていたのは、(財)医用原子力技術研究振興財団の常務理事、(財)放射線医学総合研究所顧問、そして東京大学名誉教授で、この先端的ながん治療の開発に人生を捧げてきた平尾泰男さんでした。

 年間30万人に及ぶ人ががんで死亡し、年々増加傾向にあります。なんとしてもがんを撲滅して、その苦痛から開放してあげなければならない、朴訥とした人柄ながらその語り口は熱っぽい。そんな医学博士としての強い使命感が読みとれました。

 南風の沖縄。「先進医療技術フォーラム」(内閣府沖縄総合事務所主催)が先週の17日、那覇市内のホテルで開催されていました。それほどの規模ではないものの、その充実した内容には目を見張るものがありました。

 以下の記述は、急いでメモしたので正確ではないかもしれません。目の奥の扁平上皮癌の男性患者。医者が集まってのミーティング、CT画像、3次元のコンピューターグラフィックスをのぞき込みながら、画像をぐるぐる回してどの方向からすれば眼、脳にあたらずに済むか、色分けしたがん細胞の輪郭を確定し、そしてビームの方向を決める。照射していて、痛みは全くない。そして、やがて目が見えるようになってきた。テレビで好きな大相撲、凛々しい貴乃花がはっきり見
えて、上機嫌だった。その後、5年経っても異状がなく、きれいに治っていた、という。

 15歳の少年。整形外科。仙骨の骨肉腫。手術で切れないところに腫瘍ができていて、「やってあげなければ、死ねということ。何としても、やってあげなければならないわけです」と平尾さん。あれから22歳に成長し、骨は見事に再生していた、という。

 50歳代の女性。直腸がん、激痛が襲う日々だったが、ビームの照射を受けた後にもらした感想が、「人生で一番、快適な時間でした」だった、と平尾さんはその女性の感激の言葉を伝えていました。痛みも傷もない。これは、魔法のメスかもしれない。71歳の男性。肝臓がん。野球のボール2個分のがん、直径11.2センチ。4回の照射で消えた。

 このミラクルな治療が、重粒子(じゅうりゅうし)線治療です。最近、よく目につき、耳にします。今週発売の月刊誌「新潮45」3月号は、ノンフィクション・ライターの歌代幸子さんが「『がん治療』はどこまできたのか、免疫細胞療法から重粒子線治療まで」の最新の医療現場からのレポートを取材し、読売新聞の渡邉恒雄さんも、その近著「わが人生記」(中公新書ラクレ)で、がん手術体験の項に詳しい解説を加えていました。

 さて、では、その重粒子線治療とはどんなものなのか。ざっと、平尾さんの講演をベースにこれらの解説などを引用して要約すると、発端は93年当時、中曽根首相の発意で実施された「対がん10ケ年総合戦略」でした。10年間で1024億円を投下して先進国との対がん医療技術の交流を行う一方、326億円を投じて千葉県千葉市稲毛区の放射線医学総合研究所(以下、放医研)に世界初の重粒子加速装
置「HIMAC」を完成。その規模は、横120メートル、縦65メートルのサッカー場がそっくり入る巨大な施設です。

 HIMACは、「Heavy  Ion Medical Accelerator in Chiba」の意味で略称がハイマック。重イオン(炭素イオン)線を利用するのが特長で、その命中精度は誤差1ミリのピンポイント、陽子線はやや劣って誤差が1センチだが、従来の放射線と違って皮膚や組織への影響を極力少なくし、患部にエネルギーを集中させることができる、という。

 すでに94年から放医研で臨床試験が開始されて、2003年10月、厚生労働省によって高度先進医療の承認を得ており、冒頭に平尾さんからの紹介があったようにこれまで2500人近い患者を治療し、極めて優れた治療実績を残している、という。
まさにがん撲滅の「最終兵器」といわれる所以もそこにあるようです。

 ところで、放医研発行の資料(2005年度版)によると、日本の粒子線治療施設(陽子線・炭素イオン線)は6施設あり、そのうち、炭素イオン線を使った重粒子線治療の施設は、千葉市稲毛区の放医研と、昨年度から治療を開始している兵庫県立粒子線医療センター(陽子線は2001年~)の2ヵ所、陽子線を使った治療施設は、筑波大学陽子線医学利用研究センター(1983年~)、千葉県柏市の国立がんセンター東病院(1999年~)、福井県の若狭湾エネルギー研究センター(2002年~)、静岡県がんセンター(準備中)とありました。

 準備中と記された静岡県がんセンターのホームページをのぞくと、今年1月1日に高度先進医療の承認をとったばかりでしたが、すでに治療が開始されていました。対象疾患は、頭頸部(耳鼻科領域)がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、前立腺がん、その他の固形がんとし、治療費は基本料金が240万円、それに照射料金を加えて上限額を280万円と明記していました。もうやっているんですね。重粒子線治療施設は約180億円から200億円の建設費がかかるが、陽子線の場合は、それより安くできる、という。

 それに続いて身近なところでは、群馬大学が大学敷地内での建設を新年度中に進める予定です。群馬大学は、医学部出身の鈴木守学長を先頭に全学挙げて推進体制を整え、国、県、地元産業界など幅広く協力を取り付けているようです。重粒子線治療装置の開発に関する専門委員会も設置し、放医研から金井達明ビーム測定・開発室長、山田聰加速器物理工学部長、野田耕司主任研究員、日本原子力研究所高崎研究所から荒川和夫ビーム技術開発室長、さらに兵庫県立粒子医療センター、京都大学化学研究所、筑波大学物理工学などからも専門の教授らが参画しています。それらの協力を得て推進する群馬大学の責任者が、放医研出身で群馬大学大学院教授の中野隆史さん、以前にやはり放医研出身で鹿児島大学教授の
馬嶋秀行さんを介して取材をさせていただきましたが、核心部の加速器開発やら、学会発表やら、もう、24時間フル回転の様子でした。しかし、終始落ち着いていて懐の深さを感じましたね。学内でも大事にされているようでした。さて、3年後の展開が待ち望まれます。

 今、先端的な重粒子線治療の分野では、日本のその放医研が世界の先端を走っているらしい。昨年12月には、ドイツ・ミュンヘンで開催の国際粒子線治療共同会議で、日本人医師二人の研究報告にヨーロッパ主要国ほか、中国、韓国など各国研究者が注目し、驚嘆と賞賛の声が上がった(新潮45、173Pからの引用)という。歌代さんは、そのひとりの重粒子医科学センター長の辻井博彦さんの談話
を次のように紹介していました。

 「X線は体内の浅いところで一番線量が高く、その後は減少するため深いところは十分に届かない。それであらゆる角度から何回も照射するため、周囲の正常組織にダメージを与えてしまうが、重粒子線は逆で、一定の深度でエネルギーをかけられるからがんを叩く力が強く、より高い効果が期待できる」。

 早期の肺がんでは1回、肝臓がんでは2回、前立腺がんもX線では40回以上かかるところ、20回程度で済み、手術で生じる尿失禁や性機能への影響も少ない、という。

 平尾さんも講演で、15年以上もトップを走って来た、そのトップらしい走り方が求められている、といい、普及型の装置設計も完成し必要なR&D導入も整って、専門の技術者の養成も急がねばならないが、いまようやく全国展開の時期が訪れた感じがします‐という。会場の隅から「欧米との競争で勝つための特許など知的財産の権利の扱い」についてお聞きすると、「わが国の医療産業のデフェンスのためなら、それらを適切に行使しなくてならない」と明確に言い切っていました。

 また会場からの質問に答えて、重粒子線治療の患者は、やはり地元の千葉県、東京が圧倒的に多く一般のそれにかかる治療費は、現在314万円程度という。これは専門的になりますが、平尾さんは全国の都道府県に1ヶ所の建設を期待するものの、その施設建設のコストと患者受け入れ可能数を試算した将来のシミュレーションでは、1施設1日6時間36回照射が行うと仮定すれば、年間250日稼動した場合9000照射が可能で、そこで患者ひとりあたりの照射回数を7.09とすれば、患者数は1269人となり治療費が142万円も不可能ではなく、また患者一人平均の照射を11.2回と仮定すれば患者数は804人となり治療費は211万円になる、という。

 しかし、コスト面だけで解決するわけではない。患者を集める体制や人材供給、技術スタッフ確保などの課題もあり、全国で拠点5ヶ所ぐらいからスタートすることになるだろう‐との見通しを語っていました。

 さて、その沖縄でのフォーラムは、平尾さんの前に放医研の重粒子医科学センター病院の医師、吉川京燦さんが「PET-CTによるがん治療と診断」と題して解説し、代謝機能に関する解析が可能なPET検査と、生体の解剖学的な詳細情報を正確に描くCT装置との融合、fusion imaging(重ね合わせ表示)によってがん診断の精度を飛躍的に向上させることが可能だ‐と、いくつもの実際の画像を紹介していました。いやあ、それらにMRI画像を組み込んだ3次元表示の例も説明し、息の吐く吸うそれに伴って横隔膜のズレも生じるらしく、やはりここでも医師やそれら機械を専門に扱うオペレーター、技師らのバックアップの人材養成も必要になっているようです。

 重粒子線治療がすべてのがん患者を対象としてはいないので、要注意。あるいは、手術、放射線、それに抗がん剤(化学療法)に続いて、第4の選択肢、オーダーメイド医療の免疫細胞療法も注目されてきています。

 進化する先端医療の最前線を眺めていると、そんなに凄いなら、野球のボール大の肝臓がんだった愛媛県松山の先輩、足立区竹ノ塚在住で学生時代から付き合いのあった知人、すい臓がんで若くして逝った元上司、あの人、この人‥みんな助かったのではないだろうか、ふとそう思うとなんだか無性に悔しい。あるいは、
見方を変えると、現在、闘病生活を余儀なくされている人にとってもこれらは大変な朗報に違いない。

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